診療科目

生活習慣病

やたがいクリニックでは、風邪や感染症、アレルギー性疾患などの日常よく遭遇する症状から、生活習慣病にいたるまで幅広く診察・検査・治療をおこないます。

「生活習慣病」とは、かたよった食生活・運動不足・過度の飲酒・喫煙・ストレスなどの生活習慣によって起こる病気の総称です。主なものとしては、糖尿病高血圧症脂質異常症(従来は高脂血症と呼ばれていました)、高尿酸血症(痛風)などが挙げられます。

日々のかたよった生活習慣が続くと動脈硬化が自覚症状なく進行し、突然心疾患や脳血管疾患を起こして初めて気づくということも少なくはありません。日本人の死因の上位を占める三大疾病である、がん、心疾患、脳血管疾患の多くは生活習慣病が原因です。

生活習慣病は主に40代以降の方々に多く見られますが、近年は食生活の変化や運動量の減少などにより、若年層での発症も増えています。しかし、名前が示す通り、日常の過ごし方を見直すことや服薬により、予防や症状の改善が可能な疾患でもあります。

当クリニックでは生活習慣病の早期発見・早めの対応に注力しており、来院される方それぞれの生活パターンに合わせた最適な治療方針とアドバイスを提供しています。

代表的な生活習慣病

代表的な生活習慣病

  • 糖尿病
  • 高血圧症
  • 脂質異常症 (高脂血症)
  • 高尿酸血症 (痛風)

糖尿病

糖尿病は、血液の中にある糖分(ブドウ糖)の濃度が通常より高くなる疾患です。体内で糖の代謝を調整する「インスリン」という物質の働きが弱くなるか、分泌が足りなくなることで発症します。

私たちが食事をとると、摂取した食物は消化されてブドウ糖へと変わります。このブドウ糖はインスリンというホルモンの作用により細胞内へ取り込まれ、エネルギー源として活用されます。ところが、様々な理由でインスリンの分泌量が少なくなったり、その効果が弱まったりすると、血中のブドウ糖が細胞に入りにくくなり、血糖値が上昇します。この状態が糖尿病です。

糖尿病には主に「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があり、1型はインスリンを産生する膵臓のβ細胞が破壊されて発症するもの、2型は遺伝的背景に加え、肥満や活動不足などが要因となって起こることが多いタイプです。日本における糖尿病患者さんの約95%は2型糖尿病とされています。

糖尿病の初期段階では特に自覚症状がないケースがほとんどですが、進行すると口の渇き、トイレの回数増加、疲労感などが現れることもあります。長期間にわたり血糖値が高い状態が続くと、全身の血管や神経にさまざまな合併症を引き起こします。特に注意すべき合併症は、網膜症(視力低下や失明の原因に)、腎症(人工透析が必要になる可能性も)、神経障害(手足のしびれや痛み)、さらには心臓病脳血管疾患などの重篤な病気です。

糖尿病の診察には、採血検査による空腹時の血糖値、HbA1c(過去1〜2ヶ月間の平均血糖値を示す指標)の測定や、糖負荷検査などが実施されます。

高血圧症

高血圧症は、血圧の数値が継続的に基準値を超えて高い状態が続く疾患です。

血圧とは心臓からポンプのように送り出される血液が血管壁にかける圧力のことで、大きい方の数字(収縮期血圧)と小さい方の数字(拡張期血圧)で表現されます。日本高血圧学会のガイドラインでは、診療時の血圧が140/90mmHg以上を高血圧と定義しています。

高血圧の大部分は原因特定が難しい「本態性高血圧」ですが、遺伝的要素に加え、塩分の取りすぎ、体重増加、運動量不足、精神的緊張、喫煙習慣、過剰な飲酒などの生活環境が深く関わっています。一部には腎臓や副腎、甲状腺の異常などが原因となる「二次性高血圧」もあります。

高血圧は「音もなく忍び寄る危険因子」とも表現され、多くの場合、自覚できる症状がほとんどないことが特徴です。しかし、血管に常に強い負担がかかり続けることで、動脈硬化が進み、脳血管疾患、心筋梗塞、心不全、腎機能障害などの深刻な合併症を引き起こすリスクが高まります

高血圧症の治療では、まず生活環境の改善が重要視されます。具体的には:

  • 塩分控えめの食事 (1日の摂取量を6g未満に)
  • 理想体重の維持
  • 定期的な持久運動 (ウォーキングなど)
  • 禁煙
  • お酒の量を減らす (1日のアルコール量20g程度まで)
  • 睡眠の質の改善
  • 心理的負担の軽減

これらの生活改善だけでは血圧が十分に低下しない場合や、すでに高血圧による臓器障害がある場合は、降圧剤による治療が選択肢となります。現在ではさまざまな種類の降圧剤があり、患者さんの状況に合わせて選ばれます。

当院では、ご家庭での血圧測定を勧めています。ご家庭で血圧を記録していただくことで、より正確な血圧状態を把握し、適切な治療につなげることが可能です。

脂質異常症 (高脂血症)

脂質異常症は、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)の値が基準範囲を上回った状態です。従来は高脂血症と呼ばれていましたが、現在では脂質異常症という名称が広く採用されています。

血中の主要な脂質には、LDLコレステロール(いわゆる「悪玉」)、HDLコレステロール(いわゆる「善玉」)、中性脂肪があります。脂質異常症では、LDLコレステロールや中性脂肪の値が高い、あるいはHDLコレステロールの値が低い状態になります。

脂質異常症の診断基準は以下のように設定されています:

  • LDLコレステロール:140mg/dL以上
  • HDLコレステロール:40mg/dL未満
  • 中性脂肪:150mg/dL以上

脂質異常症は自覚できる症状がほとんどないため、健康診断での指摘で初めて気づくケースが多い疾患です。しかし放置すると、血管内部にコレステロールが蓄積して動脈硬化を進行させ、心疾患や脳血管疾患などの命に関わる病気を引き起こす危険性が増します

脂質異常症の要因としては、脂肪分や糖質の過剰摂取、体重過多、身体活動量不足などの生活環境が大きく影響しています。また、遺伝的背景や甲状腺機能低下症などの疾患が原因となるケースもあります。

治療の基本方針は食事療法と運動療法です。食事では、飽和脂肪酸(肉の脂身、乳製品など)の摂取を減らし、野菜や魚介類、大豆製品を積極的に取り入れることが推奨されます運動は有酸素運動を中心に、週3回以上、毎回30分程度行うことが望ましいとされています。

これらの日常習慣の見直しだけでは十分な効果が得られない場合や、すでに動脈硬化性疾患を発症している場合には、薬剤の使用を検討します。当院では患者さんの状況に応じた最適な治療法をご提案しています。

高尿酸血症・痛風

高尿酸血症とは、血中の尿酸値が基準範囲(7.0mg/dL)を超えて高くなった状態を指します。尿酸値が長期間高い状態が続くと、関節部分に尿酸の結晶が溜まり、強い痛みを伴う痛風発作を起こす可能性があります。

尿酸は体内のプリン体という成分が代謝される過程で生じる老廃物です。通常は腎臓から尿として排出されますが、尿酸の生成量が増えたり、排出機能が低下したりすると、血中の尿酸値が上昇します。

高尿酸血症の要因としては、以下のようなものが考えられます:

  • 肉類や魚介類などプリン体を多く含む食物の過剰摂取
  • アルコール(特にビール)の多量摂取
  • 体重過多
  • 身体活動量不足
  • 腎機能の低下
  • 遺伝的背景
  • 特定の薬剤の使用

高尿酸血症のほとんどは症状を自覚できませんが、尿酸値が長期間高い状態が続くと、痛風発作のリスクが増します。痛風発作は、主に足の親指の付け根など下肢の関節に生じやすく、夜間から早朝にかけて突然強い痛みが起こります。関節が赤く腫れ、触れるだけでも激しい痛みを感じます。

また、高尿酸血症は尿管結石や腎機能障害、さらには高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病と併発しやすいことも認識され、心疾患との関連も指摘されています

治療の基本方針は、まず生活環境の改善です:

  • 特にプリン体の豊富な食物(レバー、白子、干し海老など)の摂取を減らす
  • アルコール(特にビール)の消費量を制限する
  • 水分を十分に取る(1日2L程度)
  • 適正体重の維持
  • 継続的な運動習慣

尿酸値が継続して高値を示す場合には、尿酸値を下げる薬剤(尿酸降下薬)の服用も検討します。尿酸の生成を抑える薬と、尿酸の排出を促す薬の2タイプがあり、患者さんの症状に応じて選択されます。

痛風発作が起こった場合には、まずは痛みを抑える治療を優先し、その後から尿酸値を下げる治療を行います

当院では、痛風発作の対応はもちろん、高尿酸血症の早期発見・予防策にも力を入れています。健康診断で尿酸値の上昇を指摘された方は、症状が悪化する前にぜひご相談ください

生活習慣病は早期発見と適切な日常習慣の見直し、服薬によって、十分に予防・コントロールすることができます。

定期的な健康チェック (採血・採尿など)を受け、異常が見つかった場合は早めに医療機関を訪れましょう。

やたがいクリニックでは、丁寧な診察と検査結果に基づいて、来院される方それぞれに合った治療方針をご提案いたします。生活習慣病でお困りの方、健康不安をお持ちの方は、どうぞお気軽にご連絡ください。

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